本文へスキップ

研究内容 / Research

1.機能性高分子の設計と合成法の開発

高分子の性質は、モノマーの化学構造だけでなくモノマーの配列や末端基の構造、架橋点や分岐点の有無、分子量や分子量分布にも強く依存します。これらの組み合わせは無限に存在しますが、その多くは既存の高分子と類似の性質しか示しません。狙いの性能や機能を発現させるには、高分子の緻密な分子設計と新規モノマーや重合法の開発が必要となります。ビニル系モノマーの制御ラジカル重合を中心に、反応性ブロック共重合体や多官能ハイパーブランチポリマーなど機能性高分子の設計と合成法の開発を行っています。



2.高分子界面の機能化

表面や界面は、材料全体に占める割合は非常に小さいにもかかわらず、濡れ性や反射率など表面や界面に特有の重要な性質を示します。表面のモルフォロジーやトポグラフィーと物性の関係に注目し、自己組織化などボトムアップ型技術を利用する高分子界面の機能化を行っています。例えば、ポリマーブレンドや反応性ブロック共重合体の相分離と界面物性、温度応答生ポリマーの機能化、光反応性ポリマーや体積可変ポリマーなどのモルフォロジー変化に伴う表面物性やその増幅制御、マイクロリンクル形成に関する研究を行っています。


3.機能性高分子材料の設計と開発・評価

使用後に外部刺激を与えることにより簡単に剥がせる易解体性接着材料は、半導体製造工程などで既に実用化されていますが、環境負荷の低減や省エネルギーなどの観点から近年新しい用途での需要が高まると共に高い性能や新しい機能が要求されています。使用時は高い安定性と強い接着力が求められる一方、解体時には速やかな接着力の低下が求められ、これら相反する性質の両立が材料開発の鍵となります。易解体性接着材料としての性能評価に加え、ポリマーと被着体の界面相互作用の解明と制御、新規解体メカニズムの提案など基礎にも取り組んでいます。その他、塗布後に濡れ性変換可能なユニバーサルコーティング材料、優れた熱硬化性を有する低粘度ポリマー、自己崩壊性材料などの設計と評価も行っています。材料評価の結果を高分子合成にフィードバックし、また新たな界面機能を材料設計に活かし、合成/界面機能制御/材料評価の観点から多角的に取り組んでいます。


学部生へのメッセージ / 卒業研究に取り組むにあたって

卒業研究では、化学者のタマゴとして第一歩を踏み出すことになり、これまでの講義や学生実験とは取り組み方が大きく異なります。とことん実験し、じっくり考えることが重要です。発見を見逃さないためには専門的な知識も必要です。大学院では、より主体的に研究に取り組めるよう指導します。今の自分の能力より少し上のことに挑戦する意欲のある人、新しいことに積極的に取り組む意欲のある人、研究を楽しめる人を大歓迎します。みなさんが努力した成果は、点数ではなく、研究成果や自分の力として必ず還元されます。

バナースペース

大阪市立大学大学院工学研究科
化学生物系専攻 
機能分子化学研究室

〒558-8585
大阪市住吉区杉本3-3-138